「マネジメントを実践すると3倍成果を上げられます。」
と新しく赴任してきた上司は、自信ありげに言いました。
「今の人員で、大幅な改革もしないで、ほんとに3倍なんてできるかな?」
正直なところ、私は、半信半疑でした。
しかし、部員全員が、ドラッカーの「マネジメント」を読んで実践してみたところ…
本当に職場が変わっていきました。
今回は、そんな、嘘のような本当のストーリーをお伝えしたいと思います。
ドラッカーのマネジメントを取り入れてわかったこと
私が、前職で中間管理職になったとき、管理職の仕事がよくわかっていませんでした。それまで、管理職研修といったものも受けたことがなかったからです。
そのため、当時は、上司や部下とのコミュニケーションがうまくいかず、上司からは、しょっちゅう注意されるし、部下は、なぜかモチベーションが下がって、関係がギクシャクし、チームとしてうまく機能していませんでした。
マネジメントがうまくいっていないと、部下がこちらの意図通りに動いてはくれませんし、指示をしても聞いてくれるときと納得してくれないときもあります。その当時は、平静を装っていましたが、そのことが悩みの種でもありました。
「中間管理職の仕事って難しいな…」リーダーの大変さが見えてきた瞬間でもありました。
そんな悩みを誰にも打ち明けることができないままでいたのですが、あるとき、直属の上司が異動となり、新しい部長が赴任してきました。新部長は、開口一番、このように部署全体の朝礼で言ったのです。
マネジメントとの出会い
「部員は、全員、ドラッカーのマネジメントを読んで勉強してください。」
ピーター・ドラッカーは、20世紀を代表する経営学者であり、経営コンサルタントとしても知られています。
ドラッカーの名前は聞いたことがあったし、以前に書店でその書籍をパラパラと開いて読んでみたのですが、内容が難しくてそれ以上読み進めることができませんでした。
そして、上司は、このようにも言いました。
「マネジメントを勉強すれば、いまの3倍仕事ができるようになります。」と
切羽詰まっていたので、上司がそこまで力説するのであれば、マネジメントを勉強するしかないなと、思いました。
書籍を買って読み始めると、やはり日本語訳が難しく、中身を理解することが困難でしたが、何度も読み返し、いくつかの関連書籍を読み進めるうちに、少しずつ、内容がつかめるようになりました。
ドラッカーの目標設定と計画
上司が赴任して最初に行ったのが、職員全員との個人面談でした。
これが、ドラッカーがいう、目標設定と計画です。
上司と職員が一対一で面談し、今年度の自分が達成する目標を決めるというものでした。
目標は、社内の業務分掌規定に基づいて、自分のセクションの仕事を明確にし、今年度取り組むことを自分で決めます。
その決めた内容について、部長からアドバイスがあり、修正するべき内容は修正が入ります。そのようにして、1年間で達成すべき目標とやるべき仕事を明確にします。
ドラッカーは、組織や個人が明確な目標を設定し、それに基づいて計画を立てることの重要性を強調しました。
明確な目標は組織の方向性を示し、計画はその目標を達成するための具体的な手段を定める役割を果たします。
それまでは、業務分掌規定はありましたが、それを意識して1年の計画を立てるということをしていませんでした。
目標設定をしてみて分かったことは、自分が1年間で何をやるべきか、また、何をやるべきでないかが明確になったことです。
やるべきこと・やるべきでないこと
もっとも重要なことは、「何をやるべきでないか」が明確になったことです。
もしも、仕事をしていて、目標達成ができないとお悩みなら、余計な仕事をしていないかをチェックしてみる必要があります。
余計な仕事とは、本来やるべきでない仕事、いまやるべきでない仕事、他人の仕事などが挙げられます。
がんばっても成果が得られない原因
目標が設定されていないと、上司から指示される仕事に加えて、お客様からの問い合わせやクレーム処理、他部署からの依頼の仕事などが蓄積して、本来やるべき業務が後回しになっている場合があります。
そこに1つの問題点があります。
それは、「がんばっても成果が得られない」という状況に陥るということです。
例えば、お客様ではなく、一般の問い合わせの電話やクレーム処理にばかり時間をかけて奔走していると、本来の業務は後回しになってしまい、その日にやらなければならない仕事を翌日に回すという癖がついてしまいます。
その状態で目の前にある仕事に気を取られていると、いつしか、本来自分がやらなくてはならない業務は、後回しになるどころか、忘れてやらなくなるということも出てくるのです。
これが、忙しいのに成果がでない仕事のパターンです。
やらないことを決める
自分の仕事は、まさにこのような状況に陥っていました。
そこで、自分が決めたのが、「やらないことを決める」、ということでした。
・上司から指示があった場合は、それを、今やるべきことかを判断する。 ・部下から報告があった場合は、それは自分のセクションがやるべき仕事かを判断する。 ・一般から問い合わせがあった場合は、それは、自分のセクションがやるべきかを判断する。 ・他部署から仕事の依頼があった場合は、それは、自分のセクションの仕事かを判断する。 |
上記のような基準を設けると、意外とやるべきでない仕事というのがたくさん見えてきます。
そうして、やらない仕事を明確にすると、本来やるべき仕事が見えてくるようになるのです。
そして、やるべき仕事に集中する環境づくりが自ずとできるようになり、時間を効率的に使うことができるようになります。
ドラッカーのマネジメントに取り組んだ結果
結果、就業時間の大半をやるべき仕事に当てることができるようになり、皆が自分の目標に意識を向けて業務に集中することができるようになるのです。
以前よりも、仕事が3倍できるというのは、3倍効率の悪い仕事の仕方をしていたということだったのです。
部下の仕事の変化
部下もマネジメントを学ぶようになってくれたため、各自が目標を設定し、その目標に対して自分がどれだけ遂行できたのか、また、何ができていなくて、課題はなにかを考えてくれるようになりました。
その結果、セクションの仕事の方向性を全員が意識し、自分でやるべき仕事をスケジュールを立てて自発的に動いてくれるようになりました。
また、イベントの後などは、振り返りを行い、改善策を考え、次のイベントに生かすサイクルがしっかりと回るようになりました。
職場の人間関係をよくするには?
職場の人間関係というのは、実は、性格とかお互いの相性で作られるものではなく、仕事の方向性を舵取りするリーダーシップが大きく影響していることがわかりました。
もしも、職場で不満を持っている部下がいるとしたら、それは、人間関係に不満を持っているのではなく、仕事の与え方やチームワークに不満を持っているのです。
このように、中間管理職の仕事を任されることによって、マネジメントが職場の問題を解決し、成果につながる仕事に変わることを徐々に理解できるようになりました。
まとめ
今回は、「マネジメントで3倍成果を上げる」ことについて書いてきました。
仕事とは、一種の習慣でもありますが、私のように間違った習慣を身につけている場合があるかと思います。
その習慣を、成果が出る習慣に変えれば、結果も変わったものになります。
ドラッカーのマネジメントは、机上の空論ではなく、実践すれば、結果は出るものです。
もしも、あなたの社員に3倍仕事をしてもらおうと思ったら、ぜひ、ドラッカーを読んで実践されることをお勧めいたします。
以上